手術室でU.S.Aのポップス?
やっと切除されることになったシコリに未練は特になかった。
タマキは看護師の後を追ってオペ室に入った。目の前には、肘を折り曲げて両方の、手の平を自分に向けた手術着姿のオオゴセ先生が居た。
椅子に掛けていたオオゴセはタマキの姿を確認すると、スッと立ち上がって「よろしくお願いします!」と言うと、両手はアルファベットのWの様に上へ向けたまま頭を軽く下げた。
「お願いします!」とタマキは返した。手術台に横たわったタマキの周りには数人のスタッフがいて、一瞬シーンとした後「それでは始めます」とのオオゴセの声に皆が「よろしくお願いします!」とタマキを囲んで軽く会釈した。
この程度の手術は、左手人差し指から始まり、右側の眉尻、左手の小指、右手首の内側、右手の中指の先っぽと、5度の縫合経験があったので、何も緊張することはなかった。
「チクッとしますよー」との言葉の後に局部麻酔をされ、「その後痛くないですかー」との問いかけにタマキは「ハイッ!」と返した。
するとシコリのあたりにメスが入って行く感じがした。
キヤノンかニコンか?
一眼レフの様なシャッター音とフラッシュが焚かれたのか、手術の模様を様々な角度から撮影し続けているようだ、「主役はシコリ君か?」とココロの中でツッコミをいれていた。
B.G.Mはタマキが20代の時によく聞いたU.Sのポップス、ホテルカリフォルニアが流れていて心地良かった。
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