新潟行き!
CT検査から5日後、タマキは市立病院の整形1で、あの30男の医師の説明を受けていた。
内心では、やっと切除の日程が決まる!と思うと、なんかワクワクしていた。
さすがにその時30男は、タマキの真正面にいて、しっかりと目を見てゆっくりと神妙な面持ちで言葉を発した。
「愛刀さん、この間のCT検査のデータと、紹介状をお渡ししますので、それをお持ちして、新潟の大学病院の整形科へ行って頂きます。」
やけに今回は丁寧だな!と思ったのも束の間。途端に、「新潟」のキーワードを耳にすると、一瞬頭の中は真っ白になっていた。
気の抜けた表情をしながら、中待合の椅子に腰を下ろすと、「悪いものだなー」と心の中で呟いていた。
気付くと左手はシコリに触れていた。
看護師が、急に目の前に現れると、「愛刀さーんと小声で、この中にデータと紹介状が入っていますので、新潟の大学病院へ行って頂きます、」と告げると茶封筒を渡した。
周りにいた、患者の何人かが、看護師が小声で言った、「新潟」とのフレーズに反応したのをタマキは感じていた。
それは、市立病院から新潟行きを告げられると大概は、厄介な病だ!と48年間そこで生活してきて何度も耳にしてきたからだ。
病院を出てケートラに乗り込むと、またシコリに話しかけていた。「頼むぞッ!」
「いやシコリさ頼んだってだみだろッ」
タマキのココロは壊れていた!
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